1 不貞行為が認められる場合
不貞行為といえるためには、性交が認められなければなりません。親しい関係にあるとか、デートに行ったというだけでは、浮気とはいえるかもしれませんが、不貞行為とまではいえないのです。
ですが、肉体関係までなかったとしても、その直前の性的な行為にまで及んでいる場合にまで、不貞行為にあたらないとして不問にされるようでは、納得できないですよね。
この点について、裁判所は、慰謝料が認められる場合を必ずしも肉体関係に限定しているわけではありません。
2 裁判例の紹介 平成23年4月26日判決
原告である夫が、男性を妻の不貞相手として慰謝料を請求した事案です。妻と被告の男性は、二人でホテルに行き、性的な行為をしたことは認めましたが、肉体関係については認めませんでした。
そして、裁判所は、不貞関係にあったことを強く推認させるとしながらも、被告の男性が重篤な病を患っていることなどから、肉体関係までは認めませんでした。
肉体関係がなければ不貞行為ではないので慰謝料請求は認められないのではないかと思われるかもしれませんが、裁判所は被告の男性に100万円の慰謝料の支払義務を認めました。
3 裁判例を考える
上記裁判例は、いわゆる肉体関係がある不貞行為までは認められないとしながらも不法行為責任を認めました。これは、肉体関係に至らなくても、性的行為などをする関係性が、法的に保護されるべき婚姻生活の平穏を害するからであります。
肉体関係までなくても、その直前の性的行為があれば夫婦関係が悪化することには変わりはないですよね。また、その程度も肉体関係と性的行為に留まる場合で大きな差はないですよね。
実際に、慰謝料の金額も100万円と、不貞があったことを前提とした場合と同程度となっています。上記裁判例のケースでも、肉体関係まであれば多少の増額は見込めたかもしれませんが、そこまで金額に大きな変動はなかったのではないかと思います。
4 相手の言い訳に対して
不貞の追及をしても、肉体関係まではないから不貞行為ではないと開き直られる場合もケースとしてはよくあります。
そんな言い訳に対しては、婚姻生活の平穏を壊したことには変わりはないのであるから、いずれにせよ損害賠償の支払義務が発生すると反論しましょう。
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