夫に不倫されました。相場どおりの慰謝料を払ってもらえば離婚しても損はしないでしょうか?

不倫慰謝料Q&A

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1 有責配偶者からの離婚が認められるためには長期間の別居が必要

 有責配偶者(不貞行為をした当事者)からの離婚が認められるためには,別居期間が長期間に及んでいることが必要であります。どの程度の別居期間が必要かは事案によりけりですが,別居期間が10年以上に及んでいても離婚が認められない場合もあります。

 つまり,有責配偶者である相手方から離婚を求められたとしても,あなたが離婚することに同意をしなければ,相手方は簡単には離婚をすることはできないのです。

 有責配偶者からの離婚請求についてはこちらの記事「有責配偶者からは離婚することは難しいのでしょうか。」もご覧ください。

2 婚姻費用の請求

 あなたより相手方のほうが,年収が高い場合,あるいは,年収が同じくらいであっても別居後にあなたがお子さんを引き取り,監護をしている場合には,あなたは相手方に対して,あなたの生活費として婚姻費用の支払いを求めることができます。婚姻費用は離婚が成立するまで発生するものであり,離婚が成立すると相手方はあなたの婚姻費用を支払う必要がなくなります。

 つまり,別居期間が長期化すればするほど,相手方はあなたに対して,より多くの婚姻費用を支払わなければならないのです。仮に,あなたが離婚を拒否続け,別居期間が10年にもなれば,その期間に支払った婚姻費用は相当な額になります。

3 不貞慰謝料の相場

 不貞慰謝料の相場は,事案によりけりではありますが,100万円から200万円程度になることが多いです。相手方が不貞行為をした有責配偶者ということであれば,不貞行為の慰謝料として100万円から200万円程度の慰謝料の請求が認められる可能性が高いです。

4 相場どおりの慰謝料をもらって離婚をすることについて

 あなたも相手方と離婚することを望んでいるなら,相場どおりの慰謝料を受け取り離婚するという選択肢もあります。しかしながら,あなたが相場どおりの慰謝料の金額をもらうだけでは不満があるというなら,相場どおりの慰謝料をもらって簡単に離婚に応じることは得策ではありません。

 相手方は有責配偶者であるため,自分からは簡単には離婚をすることができません。さらに,別居期間中は,離婚が成立するまで,相手方はあなたに対しての婚姻費用の支払いをしなければなりません。

 つまり,あなたが離婚に応じなければ,相手方から婚姻費用として生活費を受け取り続けることができるのです。簡単に離婚に応じてしまえば,離婚後は婚姻費用としての生活費を受け取ることができなくなってしまいます。

 有責配偶者からの離婚請求が簡単には認められず,別居期間中に相手方から婚姻費用を受け取ることができることを考慮すると,相手方からの離婚請求を簡単に認めてしまうのは得策ではありません。

5 交渉の仕方

 離婚の条件として,あなたが求める慰謝料,解決金の額に相手方が同意してくれないなら,離婚に応じる必要はありません。すぐには離婚に応じることをせず,別居中の婚姻費用を毎月受け取りましょう。そのような状況が続けば,相手方は毎月支払う婚姻費用を支払うことをもったいないと思うようになるでしょう。

 仮に毎月のあなたの婚姻費用が月に5万円だとすると,5年で300万円,10年で600万円もの金額になります。それだけで不貞行為の相場の慰謝料を超える金額になります。

 相手方としてもこのような状況を理解すれば,不貞慰謝料の相場より多く額の慰謝料を支払ってでも早く離婚をしたほうがよいと気が付くはずです。なぜなら,別居して10年後にようやく離婚が認められたとしても,婚姻費用の合計として600万円を支払ったというのであれば,早期解決として600万円を上乗せした額を支払って離婚するのと支払うお金は変わらないからです。

 毎月の婚姻費用の額や離婚が認められるために必要な別居期間などによって,妥当な解決金の金額は変わるところではありますが,不貞慰謝料の相場どおりの金額より高額の支払いを求めたとしても,あなたの要求どおり解決できる見込みは高いといえるでしょう。

6 まとめ

 有責配偶者である相手方を相手に,交渉を有利に進めるためには,離婚事件や不倫事件,知識や経験,交渉の駆け引きなども必要になります。有責配偶者との離婚でお悩みの方は,離婚事件や不倫事件の経験が豊富な弁護士に依頼することをお勧めします。

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