セックスレスで離婚することはできますか?

離婚Q&A

川西能勢法律事務所HP
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1 セックスレスは離婚事由にあたるか

 例えば不貞行為は法律でも離婚事由として定められていますが,セックスレスそのものについては離婚事由として定められているわけではありません。

 離婚事由に定められていない事情については,「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」に該当するか否かにより離婚が認められるかどうか判断されることになります。

 セックスレスについても,セックスレスが原因で婚姻を継続し難い重大な事由があると判断されると離婚が認められることになります。

2 セックスレスで離婚をすることができるのか

 セックスレスにより婚姻を継続し難い重大な事由があると判断されると離婚が認められます。実際に過去の裁判においてもセックスレスを理由に離婚を認めたものもあります。ただし,セックスレスでの離婚を求める場合,離婚を求める側がセックスレスの事実を立証しなければなりません。相手方が「一方的に性行為を拒否しており,今後も性行為をする必要がない」ということを認めている,またはそのような内容が録音やメールに証拠として残っているならば,セックスレスを理由に離婚できる可能性は高いといえます。けれども,相手方が「拒否しているわけではない。」といったように何かと理由を付けてセックスレスにあることの非を認めない場合は,セックスレスを理由に離婚が認められることは難しくなるでしょう。

 その他婚姻を継続し難い重大な事由とは,セックスレスなども含めて,不仲の原因の事情を総合的に勘案して判断されるものであります。その他婚姻を継続し難い重大な事由を判断する中で最も重視される事情が別居であります。別居しているか否か,別居しているのであれば,別居期間がどの程度であるかといった事情が重要になります。別居期間が長ければ長いほど離婚が認められやすくなります。反対に別居をしていない,あるいは別居をしているが別居期間が短いことは離婚が認められない事情となります。

 別居をしているということは性行為が全くない夫婦が多いでしょうから,セックスレスで離婚ができるかどうかという視点は,同居をしていることを前提としていると考えられます。ただ,先ほど述べたように,別居しておらず同居中ということであれば,セックスレスという事情があったとしても離婚をすることは難しいでしょう。

3 裁判例から考察

 不貞行為で訴えられた被告が,原告とその夫が6年2か月もセックスレスにあったことを理由に既に婚姻関係が破綻していると主張した事案について,裁判所は「被告Y1は,原告が被告Y1の要望に従うことなく勤務を続けることとした時以降,原告に対して性交渉を求めなかったこと,原告は,女性である自分から性交渉を求めることを恥ずかしいことと考え,自ら性交渉を求めなかったことがそれぞれ認められ,原告及び被告Y1双方ともにいささか幼児性を帯びたこだわりを持ちすぎるきらいがあるものの,原告と被告Y1との間に性交渉がなかったことにつきそれなりに理解することが可能な理由が存在し,原告と被告Y1との間において,約6年2か月にわたり性交渉がなかったことをもって,原告と被告Y1の婚姻関係が破綻していたと認めることはできない。」と判断しました。

 性交渉がなかったことにつきそれなりに理解することが可能な理由が存在し,と前置きをした上でありますが,セックスレスの期間が6年2か月でも婚姻関係が破綻していたと認めることはできないとしています。

 上記の裁判例は夫婦間の離婚が直接の争点になっている事案ではありませんが,セックスレスという事情のみをもって婚姻関係が破綻していると認められることは簡単ではないことが分かります。

4 セックスレスで離婚をしたい場合はどうすればいいの?

 セックスレスで離婚をしたい場合,長期間にわたりセックスレスであったとしても,同居中ということであれば離婚が認められる可能性は低いです。離婚をしたいが相手方が応じてくれない場合は,まずは別居することから始めましょう。同居時から長期間にわたりセックスレスであったことは離婚を判断する事情の一つになりますから,その点もしっかりと主張するようにしましょう。

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