探偵に依頼しないで自分で尾行,調査することに問題はありますか。

不倫事例解説

川西能勢法律事務所HP
インスタグラムではイラストで事例を解説しています。

1 不倫調査の問題点

 ホテルに出入りする写真などがあれば不貞行為を立証するための重要な証拠となります。不倫調査については,探偵事務所などに依頼することが一般的ではありますが,稀にご自身で尾行などを行い,調査をされる方もおられます。自分で不倫調査を行った場合の問題点について解説します。

2 不倫調査により負う可能性のある責任

 不貞調査により証拠を取得するためには,写真を撮る必要がありますが,相手方のプライバシーを侵害したとして民事上の責任を負う可能性があります。

 また,相手方のアパートやマンション,自宅に無断で侵入することなどがあれば,刑事上の住居侵入罪などに該当する可能性もあります。

3 裁判例から考察

張り込みについて

 原告である妻が,夫の不貞行為の証拠を得るために,自分で張り込みなどの対応をした事案において,裁判所は「原告,当初は別件離婚訴訟、後には本訴の準備のために行ったものであると認められ,被告とA(元夫)との間の以前からの不貞行為を疑っていた原告が,本訴の準備のために上記の程度の調査活動を行ったことをもって、直ちに被告のプライバシー侵害として不法行為を構成するとは解し難い。」と述べ,張り込みをした原告のプライバシー侵害による責任を否定しました。

写真撮影

 上記事案において,原告が張り込みだけではなく撮影をしたことについて裁判所は,「建物の外観の写真撮影は、それ自体がプライバシー侵害に当たるとは考え難く、また、被告の夫の写真撮影は、仮にプライバシー侵害に当たる余地があるとしても、同人自身が問題とすべきことであるから、いずれも被告に対する不法行為を構成するとは解されない。」と述べ,写真撮影行為によるプライバシー侵害を否定しました。

 建物の外観を撮影した程度ではプライバシーの侵害とはならないでしょう。一方で,人を撮影した場合には,プライバシー侵害にあたる可能性があります。もっとも,上記事案においては,訴訟の当事者である被告が写真を撮られたわけではなかったため,プライバシー侵害を否定しました。

4 まとめ

 自分で探偵調査をする大きなメリットは費用の負担がないことですが,素人の調査では裁判で不貞行為を立証できる証拠を取ることが極めて難しく,また,場合によっては,調査行為によって法的責任問われ,逆に不利になる可能性もあります。

 自分で証拠収集を行う場合は,LINEの履歴調査などに留め,尾行など探偵業者が専門とするような難しい調査は控えたほうがよいでしょう。

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